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第2回 芸妓・舞妓の異分野アート交流 展をふりかえって

開催前 – 準備

京都の芸舞妓や花街の写真で知られる溝縁ひろし先生の主宰で開催される、芸妓、舞妓をテーマにした芸術作品であれば、写真、絵画、造形などジャンルを問わず参加可能な展覧会で昨年に続いて2度目の開催である。
参加されている作家の方々はプロ・アマを問わず自由参加であるが、溝縁先生からお声がけをされた方、先生主宰の撮影会に参加された方、細々と発信された情報を何らかで知り得た方で、現状は広く公募されているというわけではない。

私はこの展覧会については第1回の開催の案内を新聞社系カルチャーセンターの事務局から、以前に参加していた舞妓をモデルにした写生会の参加者全員に送られた出品お誘いの案内状で知ったが、第1回については様子見するとして参加を見送っている。

第2回からの参加を決めたのは、SNSを介してリアルにも親しくさせていただくようになった絵画の作家さんたちが第1回に参加されていたこと、溝縁先生の知名度によるところ大でもあるが、ギャラリーが祇園町にあるという立地、基本的に芸妓、舞妓に関心のあるお客さんの来場が多くあるということで、昨年、神戸や大阪で作品出品をした機会の”場違い”感、いまひとつの感触の無さもあって、真に芸舞妓に関心のある方々の反応を感じてみたいと思ったのが理由だ。

参加意思の表明は昨年中に何度か溝縁先生の写真展などでそのたびにご本人に直接お会いして話す機会があり、その都度、意思をお伝えしていたので、正式に参加募集の案内状を頂き、メールで参加を確認した。

作品搬入・搬出については準備日と撤去日がともに平日で、仕事をしていて参加できないので、作品を梱包して会場へ配送し、撤去後にその箱を使って着払いで返送していただいた。

画材や額縁の専門店で額装してもらっていると、額が収まるダンボール箱を取得できるが、IKEAで買い求めた簡易で廉価な額のため、そういうものがなく、ダンボール箱をホームセンターに求めるが最も適当と思われるサイズも額に対してはまだかなり多くて、新聞紙をまるめて緩衝材を多めに入れたりしたが、宅配業者曰く、料金もそのせいで1つ高い金額になっているようだ。

作品について

昨年の神戸で出品した「姉妹の門出」をリメイク。

神戸出品の作品は、2021年に描いたもので、手掛けたときから(その出来はともかく) 京都の祇園の界隈で飾ってもらえることを夢見ていたので、ことし2024年になってすぐ描きはじめたもの。
これまではペンでフチどりして仕上げてきたが、あえてそれをしないでおいた。
下手なりの3年間の技術の進歩と、ペンのフチどりが無いことで、明暗や柔らかな感じや、脱・漫画な印象にできたように思う。

開催中

在廊については溝縁先生から日時の相談と指定をされたが、入り時刻は指定でも退出に関しては拘束がなかった。
先生と京都在住の出品者の方々が基本的に開場から閉場を網羅するようになさっていたように思われる。

芸妓・舞妓をテーマとした作品を展示する場所としては祇園町にある「ぎゃらりぃ西利」さんをしてこれ以上の場所は無い。
(あるとすれば、現実性はないが歌舞練場くらいしか考えられない。)
会場にいて、拙作も期待どおり来場の多くのお客さんにしっかり見ていただけている実感もあった。
遠方から足を運んでくださった方々にも本当に感謝したい。

開催以降思ったこと

条件が揃っていて、満足度の高い機会だった。
が、しかし、この展覧会に参加された方々の大半は、定年後の趣味として芸舞妓の写真を撮影するご高齢のアマチュアカメラマンの方々で展覧会は彼らの思い思い、趣味の作品の発表会になっているという現実がある。

そのこと自体を否定するものではないが、芸術絵画の作品は互いに並べられて競い合い、高めあっていくもので、ジャンルも違い、その方向性も違うものと共存することに、やはり違和感をおぼえないわけではない。
もちろん、描かれる作家さんによっては高みを望まない方もいらっしゃるかもしれないが、私個人としてはもの足りず、若い世代の人たちも交えて高めあえる機会であってほしい。

そういう意味で、今度は芸妓・舞妓をテーマとした絵画部門だけで、できればこの祇園町の界隈で合同展を行いたいものである。
ゆくゆくは個展ができればよいのだけれど。

うちらにあいにきて 展をふりかえって

開催前 – 準備・制作

神戸の公募展が終わって2週間ほどたった頃、6月の公募展に出展を決めていたGallery IYNさんから、秋の「舞POP JAPAN展」のコの字ブース貸し切りの出展を持ちかけられた。

神戸での手応えの無さ過ぎに6月の公募展すら不安な気持ちであったが以前に下見をしたときに見かけた写真家さんの舞妓の写真の個展と併催に是非にとのお誘いで、6月の公募展はサイズに制限があるが、枚数もサイズも自由、造形物でもなんでも、ブースを埋めてくれればよいと言う。

そのとき、6月に出展する3枚は大阪・南地 たに川の芸妓姉妹の上の3人を描く予定で、下の2人の妹芸妓を描いてやれないことにちょっともやもやしていたから、埋め合わせというか回収できる機会が要ると思っていたので、6月のシリーズへの2枚追加と新たに5人姉妹全員を描き下ろして、これまで贈ってきた千社札のデータも残してあるのでこれも展示しようとその場でアイデアがふつふつと湧いてきたので、出展を承諾した。

6月同様に9月についてもたに川さんと芸妓たちに芸妓それぞれをモデルにした絵を描いて、その名前を書き添えることの快諾をいただいた。
僕の絵はそもそも似顔絵だったから、ブースを埋めるだけの枚数の絵は描きたい似顔絵でいきおい埋めてしまいたい、そういう気持ちだった。

デジタル出力する千社札集も含めて20枚の制作を目標にした。最悪描ききれない事態のときも3年毎月描きためた絵があったのでそれで埋め合わせすることもできる。気持ち的に余裕もあった。

2月と6月の公募展準備で紙に合わせた額装は手間もお金もかかるので、新たに描く絵は額の種類の多いA4サイズに決めた。IKEAで見つけた既製額も1枚200円以下で求めることができてクオリティも展示には申し分なかった。

半年以上の制作期間があり、途中にGWも盆休みもあったが、あとで描きなおしや枚数調整も必要だろうと思ったので描こうという前向きな気持ちがあるうちに一気に描いてしまおうと、作画に取り組むことにした。

というのも、南地の芸妓姉妹を描くことには、それは描く僕の自己都合でもあるが、制約があった。ソラから想像で描くこともできるが、今回は実際のありのままの姿を確認したうえで絵にしたいというものだった。

この時点で芸妓の1人が休養中でまだ復帰の見通しが無かったので、ご本人の承諾は得れてなかったが、引退をしたわけでもなく、姉妹のひとりの絵が欠けるのも不自然なので、構わず描きすすめる。ただ素材とする直近の彼女のイメージがない状態だ。

芸妓5姉妹の、下の2人の妹は上の子が2月に芸妓に成りたてで、まだ夏以降の衣装を着ていないので、上3人を夏衣装で描いてしまっているので夏まで下描きのままにし、

芸妓姉妹の一番下の妹はまだ「芸妓見習い」なので、秋の芸妓デビュー前の、芸妓衣装を纏う練習時期までは下描きもせず待つことにした。彼女のデビューが展示の頃に近いので、芸妓姿の絵でよろこんでもらえるのではないかと思ったし、単純に見に来る一般のお客様にとって芸妓姉妹の絵の展示に芸妓ではない姿の絵は不自然だと思ったからだ。

6月の公募展が開催される頃、思っているより順調なくらいで作品を描きためていた。

ところが想定外の事態がつづく。

6月の公募展の作品の搬入の頃、すでに描き上がっていた、休養中の子とは違う上の芸妓が急に退くことになり、9月にはその子をモデルにした絵の数枚は出せなくなる。

それらに代わる、あらたに(実働)3人になった姉妹をテーマにしたシリーズを描き始めたら、休養をしていた芸妓がまた急に復帰して、その彼女の絵も直近のイメージで描きなおしたくなってしまう。

もともと共通のシリーズで5人の絵を描きわけるテイで制作をしていたので、夏まで下描きにしていた絵を仕上げはじめると、半年近く前にすでに描き終わっている同じシリーズの絵とタッチや雰囲気に差が出てしまい、全部描きなおしたくもなるし、どう折り合いをつけるか悩む。

最後に見習いだった妹の芸妓衣装を纏う練習が、ご本人の体調不良などで開始が遅れてしまい、結局制作期限内に実際の芸妓姿を見ることができなくなり、僕としてはあくまで実際のご本人の姿を見た上でご本人のイメージから遠くないものを描く自己ルールを強いていたので、現在の見習いの姿を描くか、想像で彼女の芸妓姿を描くしかなくなったのは至極残念だった。致しかたない。

自分は1枚を描きあげるのにそれほど時間はかからないのであるが、それでも結構翻弄されてしまった。
ただいくつかイチから描きなおしや発案させられたことで偶然に良い絵が描けたという感触を得たものもあった。

作品搬入の直前に作品を撮ったデータなど展示内容の確認作業があったが、そのときにはじめて今回の僕の展示が「個展」の扱いになることがわかった。IYNさま側の説明不足なのか、説明を僕がよく聞いていなかったのかは定かではないが、ともかく自分の展示に名称をつけることと、キャッチになるイメージ画像を作ることになった。

この展示で描かれた芸妓たちも注目されることを願っていたのと、展示そのものを見てほしいという気持ちから、けっこうすんなり「うちらにあいにきて」というワードが浮かんできた。

IYNさんが僕が芸妓たちへの思い入れで描いてることを理解してくださっていたので、芸妓の所属する、お茶屋「たに川」さんと出向先になっているお茶屋バーの「箏の音」さんの宣伝をするこも、11月の芸妓たちが参加するの「難波をどり会(なんばおどりえ)」の案内も置くことも快諾してくださった。絵画展であまり前例のないことをお願いしたように思う。

会場設営については、設営イメージ図を提出してIYNさんにお任せであった。

作品について

舞踊シーンのシリーズ
催しなどで直に見た4人それぞれを描いている。衣装については基本そのときのものを忠実に描いている(つもりだ)が、ご本人が別の機会に召されていたものに置き換えている絵もある。顔は似顔絵に寄せている。

Popping!シリーズ
TWICEや韓国POPSアイドルのCDジャケットやグッズに施されるようなイメージを意識した各人の似顔絵。いままで、祇園町や各地の芸妓舞妓に贈ってきた、僕の描く代表的なパターン。
今回はご本人からうかがった趣味や好きなもの、個人のエピソードをモチーフにして飾っている。モチーフの題材はかなり踏み込んだ情報で描いたつもりなので本人や近しい人には楽しく見てもらえるはず。

名所シリーズ (B5額)
6月の公募展で展示したものに妹たちのものを追加。
6月の作品は大阪をテーマにした音楽のフレーズを作品名にしたが、今回は妹たちが個々に縁のあった場所を選んで描いている。まり鶴さんが住吉大社、千鶴さんが大阪城梅林。
まり鶴さんの住吉大社の絵は、夏まで下描きで置いていたものを仕上げにかかっていたが、その時点で僕の絵のタッチや表現の傾向がかなりかわっていたので納得できなくなって、急に降ってきたイメージで一気に新たに描いたもの。急に降ってきたので紙サイズを他の姉妹と間違えてしまったが、個人的には今回の一番の出来。(額装するときは他の姉妹と同じサイズの紙を裏に敷いている)

なにわ純血三姉妹
一人が退いて、一人が復帰未定の休養中で、残った芸妓三姉妹を激励するつもりで手掛けた2枚。

千社札総覧
実際に贈ったものそのものではなく、似顔絵は描きなれて安定した時期のものに差し替えていたり、贈られたご本人なら気づくであろう、意図的にちょっと違うデザインにしているものもあり。

四季の舞妓シリーズ
京都・祇園町の舞妓の春夏秋冬のイメージ。
月々描きためてきている、構図もソラで想像で描いているパターンの絵。

作品はこちらからご覧になれます

Gallery “うちらにあいにきて”

開催以降思ったこと

自分にような趣味で好き勝手描いてる絵の展示を入口すぐに、今回の全体展示の代表イメージを描いているかたの作品ブースト向かい合わせにしていただいく待遇には恐縮するしかない。

前回も来てくれた旧友や、昔の職場の懐かしい先輩方、
いつも芸妓たちといっしょの時間を愉しんでいる「箏の音」常連の方々の来訪、
同じく展示に参加されていた作家さんから、着物を正確に描いていることを褒めていただいたことは大変うれしかった。

その反面、6月に絵を見に来てくださった方々、来てほしかった人たちが来てくれなかったことは重く受け止める。もっと絵に精進が必要なことを痛感させてくれた。

和をテーマとした作品の多い展示で、他のかたの作品の着物や和装の描き方が気になってしまって、SNSでそのことをつぶやいたら、誹謗中傷にしか読めないようなアグレッシブなコメントを同じく参加している作家の方から書き込まれるなど、描く人たちの界隈との関わりの難しさも感じた。

描くことを生業として生きてきていないので、そういう自分が小さいなりに個展のようなものをしたことは、人生においてそれなりにサイズ感のある出来事であったように思う。
それゆえに、今回のことは自分のモノの考え方や価値観にもそれなりの影響がある。

次の絵の発表の機会を期待して応援してくださる声もあるし、今後は制作環境を整えて、作風や手法を変えたり違う表現で描いてみたい気持ちもあるけれど、自分のなかの深いところをちょっと整理してからどうするか考えたい。

『うちらにあいにきて』at 舞POP JAPAN展
2023年9月29日(金)~10月9日(月・祝)
Gallery IYN
https://www.gallery-iyn.com/post/shinchaya-collection

Message展 出展をふりかえって

インスタグラムのDMにGallery IYNさんから出展のお誘いをいただいたのは1年前のことだった。

さかのぼること6年前、霊感が強いとやら言う写真家さんに、芸妓舞妓に描いて贈っているような似顔絵は手元に描きためれば将来は個展をしているだろうと、予言めいたことを言われたのをきっかけに、とくに目標も持たず似顔絵とはべつに月イチベースで舞妓の絵を描いていた。

それ以前にあるクリエーターのかたの呼びかけで、仕事の研鑽のために1日1枚付箋にデザインして50日つづけようという企画に賛同して、思いつくまま舞妓の絵を描いて、それをもとにLINEスタンプをつくったのだが、その50日、描いたものをインスタグラムにupしていたのを思い出して、

とりあえず描きためた絵を普段用とはべつにアカウントを立てて、少しづつインスタグラムにupしつづけていたのがGallery IYNさんの目にとまったようだ。

いつかもし個展を開くなどということがあるならば、題材が芸妓舞妓であるかぎり、必然場所は京都になるのだろうとしか思っていなかったので、大阪の中崎町のギャラリーさんからのお申し出であったので、
直感的に、今気をかけている大阪・南地 たに川の芸妓さんたちを描いて、大阪の人にこそ見てほしいという思いが沸き立ち、そもそも似顔絵だけをずっと描いてきたので、モデルにする芸妓さんたちに直接承諾をもらって、デザインした個々の千社札も絵に貼り付けて作品することにした。
結果として、彼女たちの周知に少しでも応援できたらと。

Message4 出展作品について

長姉の芸妓である玉幸さんについては過去に、今宮戎神社十日えびすの宝恵かごに極めて近い将来に乗せてもらえることの願いを込めて描いたものを

二番目の芸妓であるいち鶴さんは本人がミナミの芸妓として長く夢見ていた戎橋に立つ様子を

三番目の芸妓である美与鶴さんは意志の強い彼女なら法善寺の水掛け不動に願いではなく誓いをたてるだろうと想像して、そのさまを

それぞれ描いた。

また「似顔絵」であるかぎり、当のご本人が見てよろこんでくれそうなものを盛り込むようなこともしている。

出展作品制作中に新たにGallery Vieさんから秋にもっと点数の多い出展を依頼され、このシリーズに描けなかった妹芸妓さんたちをそのときに追加することを決めた。

額装

1月の神戸の出展の額装の費用と手間の経験と、Message展の出展条件で額を含むサイズがほぼB5レベルだったのでそのサイズの既製額を購入し、SMサイズで描いた絵の裏にB5の紙を貼って調整した。

開催に至って

会場の雰囲気については、Gallery IYNさんは学生や駆け出しの若いデジタルクリエイターの登竜門的な位置づけのようで神戸のときとは違う意味で僕の絵は浮いていたが、かえってアナログがゆえの温かみのようなものがあるとの感想もあって、それはそれでよかったのかもしれない。

開催期間中にいち鶴さんの誕生日イベントがあって、同席した南地芸妓のファンの方々の来場を仰いだり、連絡をとった昔の職場の同僚、1月の神戸の公募展からの描く方面のお友だちなどが見に来てくださってとてもありがたかった。

見てもらえること、言葉をいただくことはうれしいし、制作の励みになる。
9月はフロア内のコの字ブースを1つもらって作品を15-20枚をサイズ自由で埋めることになっているが、一段と気持ちが入る。

『 MESSAGE展4 』2023年6月9日(金)~18日(日)
Creation Cafe IYN ・Gallery IYN
https://www.gallery-iyn.com/post/message4

公募展「かきぞめ企画」出展をふりかえって

昨年12月。仕事関係の勉強会で親しくなったお友だちが作品を神戸元町のギャラリーVieさんに出品されたと聞き、当日ご本人には会えなかったが、集っておられた出展者の方々に本来の目的を晒してしまう。

するとその方々とギャラリーから年始の公募展「かきぞめ企画」に出展を打診され、拙作の”お見世出し”は思いがけず急展開で半年早い新年に神戸になった。

学生時代を過ごしたりかつての仕事関係で公私に縁のあった神戸も悪くないと思った。
親戚も知人も阪神沿線には少なくなかったし。ひょっとしたら見に来てくれるかなと期待もした。

開催まで時間がなかったので描きためた絵から選んで出展することになった。ギャラリーのサイドからは僕の芸妓舞妓の絵がお正月にふさわしいと期待されているようだった。

この時点で6月中崎町の公募展に出す予定の大阪・南地の芸妓姉妹の絵の3枚中2枚が仕上がっていた。退いてはいたが奈良の芸妓舞妓の絵も本人から承諾はとれなくもなさそうだった。しかし神戸で、一般のかたに芸妓舞妓が京都以外にもいることの説明が要る絵より、京都の舞妓のイメージのほうが受け入れられやすいだろうと判断して、それらを候補から外す。

選んだのは2枚。

梅の枝のメジロを見つけた舞妓の絵と、舞妓のお見世出し(デビュー)の絵。

舞妓はひとりの芸妓と姉妹の契りを交わしてお見世出しになるが、その芸妓自身も襟替え(デビュー)した10年前のエピソードをモチーフにしている。おめでたい絵だし、このくらいのウンチクを興味をもってくださったかたに語れればいいなと思っていた。

2枚の絵は過去にインスタグラムに上げていて、後者はイイねも多く、好意的なコメントが多かった。梅とメジロのほうは、単純に僕が好きなものとして選んだ。

実物をギャラリーで、とくに芸妓舞妓に関心がある人ではない方々の反応も見てみたかった。

ギャラリーに絵を飾るには額装が要ることは常識的に理解はしていたが、まさか描きためてきた絵の紙のサイズに最適な額が既製品には無いなどとは思ってもみなかった。

絵の部分を窓にしてくりぬいたもので額のサイズに合わせている物体がマットと呼ばれていることも初めて知った。

既製品はガラスの窓板で展示にはアクリルに替えるのが普通だという画材屋の説明に、それならはじめから何故アクリルで売っていないのかとても理不尽な気がした。

2枚の出品でエントリーしていたので、まあまあそれなりの額装費用になった。

公募展の出品はたいていのかたが1枚だったのを知ったのは開催後だった。

作品に命名もしないといけなかった。それなりにセンスも要る。発泡スチロールの薄板をカットしてそれらをネーム板にしたり、自己紹介のキャプションも作ることを学んだ。

ひととおりの準備をして、宅急便などは使わず設営日に現物をギャラリーに持ち込んだ。

設営はギャラリーにおまかせだった。

いよいよ始まった「かきぞめ企画」。

期間中の土日は必ずギャラリーに赴いたが、そんなに多くの人が見に来るわけではなさそうという予想はしていたけれど、(親戚も知人も来なかったけれど) 見に来られたひとの目線が僕の2枚にとまっているようには僕が居る時間内では、まったく感じなかった。

いろいろ学んだデビュー戦だった。

はじめてギャラリーにうかがったときから感じていたが、こちらでは絵本に描かれるようなファンタジーであったりかわいい絵を学べる教室があるのがウリで、その卒業生の方たちの発表の場であることで、雰囲気はとても良いのだが、僕の絵は線描きの色鉛筆画であることも、その題材にしてもかなり異端であることは否めなかった。

お正月なので、干支や和テイストな作品もあるにはあったが、僕の絵とは親和性があるものではなかった。

見てもらえたという実感がほとんどないのでインスタでどう見られているとかは何の参考にもならない次元であった。

インスタの投稿にイイねをしてくださっているのは国外の人も少なくないし、イイねの数を気にしているのなら、発表の場をアナログなギャラリー展示に求める必要すらあるのかとさえ思った。

神戸という場所もあるかもしれない。芸妓舞妓の絵ならば京都ならどうだったろうか。

いずれにしても、僕の絵に関心すらもたれていなかったのだから自問自答することすら意味がないかもしれない。

べつに悔しくはない。なんでもやってみてわかるものだ。

観覧のお客様には不評でも、はじめてかもしれないが、絵を描く側のひとたちとのつながりができたことはとてもうれしいことだった。

Gallery Vie かきぞめ企画「良い年になりますように」
2023年1月23日(月)~2月5日(日)

LINEスタンプ「まいこらいふ」販売開始。

このたび、拙作LINEスタンプ「まいこらいふ」の販売を開始させていただきました。
https://store.line.me/stickershop/product/1216403/ja

なんと、申請から5日「審査待ち」状態で、いきなり「承認」のメールが届きました。
その道のお友達のスタンプには比べますと、なんとも愚作でお恥ずかしい限りです。

今夏の#sticky50を渡りに船にしてアイデアを蓄え、これをもとにしましたが、
半分ほど描き上げたところで描き慣れて画風が変わって、バランスが悪くなった前半を描き直し、
スタンプを送ったときの見映えから、キャラクターの顔・身体の向きを見直してほぼ一から描き直し、そんなこんなで2ヶ月半。
#sticky50では芸妓さんの絵もありましたが、新たに追加して今回はすべて舞妓さんの絵にいたしました。

そんな感じで下絵は#sticky50を含めて100枚になりました。

キャラクターの顔・身体の向きの見直しは、舞妓さんは頭の左側に華やかな大簪(かんざし)を差すのですが、そちらが陰になり、参考にする写真も大簪のほうから撮られた写真が多く、大いに困り、苦戦しました。

しかしながら、InstagramやTwitterにアップした#sticky50には圧倒的に海外の方から”いいね”をいただいていて、僭越ながら日本人として、その観点からも、日本の花街文化を正しく発信する責任みたいなものも意識して、とくに簪についてはなるべく忠実に描くように努めました。

でも、LINEは欧米ではあまり使っているひとがいないんですよね。ちょっと残念です。

・・・え?誰かに似ていますかね?(笑)