関西と近畿

最近は当地にいて「近畿」という言葉をとんと聞かなくなった。

おそらくは関西国際空港が開港したあたりから始まって「近畿」は関西に上書きされた感じだ。

かくいう僕もその関空が開港の時から数年職場だったのだが。

もともと「畿(=帝の住まいするところ、皇居、みやこの意味)」のほうから見て、『不破の関(岐阜県)』『鈴鹿の関所(三重県)』『愛発の関(福井県)』の関所より東を「関東」とよんでいたのであって「関西」という呼び名はなかった。

「関西」という呼称は鎌倉時代からあったらしいが今のような2府4県よりは西日本まで広いイメージだったり、そもそも現在の“関西”あたりの人たちにとって自分が住まいするところは中央であり、”上方”だと思っていたので、西に居るという感覚は全然なかった。

「近畿」という言葉が無くなるみたいなことを危惧したり残念に思うのは僕の個人的な性格によるものもありそうだが、じつは積極的に「関西」に置き換える理由が、まさに関西国際空港あたりに端を発している。

というのは英語でKinkiは「異常性欲(kinky)」を連想しやすいのだそうだ。

これに配慮して、近鉄はこのタイミングであったかは調べていないので定かでないが、Kinki Nippon Railway を Kintetsu Railway に、近畿大学は近年Kinki University をKindai University にあらためている。

この先はインバウンド経済を推し進め、雇用も外国人頼みで、オリンピックや万博など国際行事も続く日本ゆえにここは致し方ないだろう。

南海電鉄が戦時に近鉄と合併していた経緯で戦後に球団名に車両の”車輪”にちなんで「近畿グレートリング」としていたのを進駐軍らの欧米人からGreat ringが”偉大なる女性陰部”に聞こえて嘲笑されていた話は野球ファンには有名な歴史物語であるが、近畿もKinkyならさらに救いようがない名前だったということだ。